三日坊主の三年日記

人生を、おもしろく

君は、「日本代表」になったことがあるか? 〜ベイブレード日本一決定戦〜

本日、幕張メッセで行われた「次世代ワールドホビーフェア」に参戦してきた。

目的は、ベイブレードバーストの日本一決定戦を観戦するためだ。

 

ベイブレードとは、古くから遊ばれている伝承玩具のひとつ、ベーゴマを現代風にリメイクした(株)タカラトミーが発売するおもちゃだ。

今回のベイブレードバーストはシリーズ3作目であり、主に小学生男児の間でここ数年ブームを巻き起こしている。

 

ベイブレードは、見た目の「かっこよさ」、自分でベイ(こま)を組み替えられる「カスタマイズ性」、対戦相手と激突する「バトル性」など、男の子の心をがっちり掴んで離さない要素がぎっしり詰まったアイテムである。

 

かつての2シリーズは、相手のベイを専用スタジアムの外に出す「オーバーフィニッシュ」、相手のベイよりも長く回り続ける「スピンフィニッシュ」の2種類がルールとして存在していた。

しかし今回のベイブレードバーストでは、そこに新たなルール、「バーストフィニッシュ」が加わった。これは、相手のベイを破壊するとポイントが入るというものだ。破壊といってもこなごなにするわけではない。ベイは付け替え可能な3つのパーツに分かれていて、ぶつかり合うことによってそれをバラバラにするということだ。

この、相手のベイを破壊するという斬新さ、爽快感が子どもたちの心をまたしてもがつんと鷲掴みにし、大ヒットとなった。

 

ベイブレードバーストは、コロコロコミックでのマンガ連載やアニメ放送と連動しているため、リアルとバーチャルを行き来できる。すなわち、自らもベイブレーダーとなれる。

そのリアルな対戦の場として、全国各地のおもちゃ屋さんで毎週大会が繰り広げられており、数多のブレーダーたちがしのぎを削りあっている。これがまた、熱い。熱すぎるのだ。その熱狂ぶりで、さびれた商店街のおもちゃ屋さんも活気づくほどだ。まさにおもちゃによる地域活性化が起こっている。何たる社会貢献。

 

そんな全国のブレーダーたちにとっての夢舞台。

それが、「ベイブレードバースト世界大会」である。

日本発のベイブレードバーストは世界中で人気を博しており、世界各地にブレーダーが存在する。その頂点に立つ「世界一のベイブレーダー」を決める大会が、これだ。

そして次世代ワールドホビーフェアで今回行われる「日本代表決定戦」で優勝した1名が、11月にパリで開催される世界大会への出場権を獲得する。 

 

本日は、各地の予選を勝ち上がった強者たちが激突し、火花を散らした。

勝利を手にして雄叫びを上げる者。

接戦をものにし、家族で抱き合って喜ぶ者。

敗戦を喫し、涙を流す者。

悔しくてその場に突っ伏し動けなくなる者。

はたまた、屈強なブレーダーの熱戦に興奮し、大声を上げて応援する者。

そこにいるブレーダーの数だけストーリーがあった。

 

会場には人がごった返し、訪れた外国人も”What happened????”と思わず声を漏らしていた。報道陣も多く駆け寄った。

 

なんといっても、ブレーダーたちの、涙ぐましい努力の成果を発揮する日なのだ。

 

最強のベイとは何なのか。日夜頭を捻り、練りに練ったパーツの組み合わせ。

 

軸がぶれないよう、たくさんの練習を積み重ねて自信をつけたシュート。時には肉離れをした日もあったね。

 

テレビ、ツイッター、雑誌。世はまさに大情報航海時代。最新情報を誰よりも早く収集し、おもちゃ屋に全力疾走しなければならないブレーダーたちの日々は過酷だった。

 

 

それぞれの思いをベイに乗せる。

ぶつかり合う鉄の塊は、ブレーダーたちの魂であり、彼らの人生そのものだった。

 

 

会場のボルテージは最高潮に高まる。

勝ち上がったブレーダーによる、ファイナルマッチが始まった。

勝戦は、まさに、死闘。一進一退。3ポイント先取で勝ちとなるルールの中、互いに2ポイントを取り合う超ゼツ激熱展開。ワールドカップにも負けてないぜ、ブレーダーたちよ。

 

 

そしてついに、決着の時は来たーーー

最後は、アニメのように劇的なバーストフィニッシュが炸裂。

ベイがバラバラになった瞬間、勝者は拳を高々と挙げ、敗者はその場に崩れ落ちた。

ブレーダーたちの少し早い一夏の戦いが、幕を閉じたのだった。

 

 

ベイブレードなんて、たかが「おもちゃ」だと思う人もいるだろう。

中にはブレーダーの親でさえ、なぜそんなものに夢中になるのだと戸惑っている人もいるかもしれない。

だが、ここにいるすべての子どもたちが物語っていた。彼らは、「本気」なんだと。全身全霊をかけて、コマを回しているんだと。

でないと、あれほどまで飛び上がって喜んだり、悔しくて泣き喚いたりなどしない。

 

 

子どもたちの「本気の遊び」を目の当たりにし、気づくとぼくの頬には一筋の雫が流れていた。

ああ、これこそが、子どもの子どもたる姿ではないか。これほどまでに素敵なことがあるだろうか。

 

 

君は、何かに本気で打ち込んだことがあるか?

結果が出ずに涙を流したことがあるか?

努力の末に掴んだ勝利を、心から喜んだことがあるか?

感情を共に分かち合ってくれる人が側にいたか?

約8000人の頂点に立ち、「日本代表」を手にしたことがあるか?

 

 

 

 

「そんなに遊んでないで勉強しなさい」

「遊んでばっかでいいよなあ、子どもは」

そんな大人の言葉をしばしば耳にする。悲しいことだ。子どもにとって、遊ぶことは生きることであるというのに。

 

また大人は、子どもの遊びの中にも知的な要素や想像力などを求めたりする。どうせやるなら、遊びを通して何かを学んで欲しいと思っている。

でも、子どもは何かの目的のために遊ぶだろうか。いや、そんなはずはない。

遊びそれ自体が、ただおもしろいから、遊ぶのだ。

考えてみればたしかに、本来遊びは「やらなくてもよいこと」である。しかし、そんなどうでもいいことを本気でやるからこそおもしろいのではないか。遊びに没頭すればするほど、学びは広がり、深くなるのであって、付加価値は結果的なものだ。

 

子ども時代に本気で何かに打ち込んだこと、夢中になって遊んだことは、いつか必ずその人の財産になる。
もっと強くなりたい。もっと楽しくしたい。おもしろくするにはどうすればいいかな。そんな「本気の遊び」の中で育んだものは、自分の人生をおもしろくしていくための力となる。
本気で遊ぶからこそ、やりたいことや自分の意志が生まれ、それを実現するためにやらなければならないことが出てくる。そこで発生する仕事は、大人にとっての、生きるために仕方なくやらなければならない仕事とは違う。そんなものより遥かに創造的で豊かな時間なのだ。

 

我々がすべきことは、そんな子どもの本気の遊びを支え、見守り、時には一緒に本気で遊ぶことではないか。

 

たかが"ベイブレード"と言ってしまうのは簡単だ。

しかし、その背景にある子どもの本気を、ぼくは何よりも大切にしたいし、すべての人に大切にしてほしいと思う。

子どもが夢中で遊べる世界を、守っていきたいと思う。それがぼくの使命であり、大人の役割だ。

 

 

見事日本代表を勝ち取ったブレーダー、本当におめでとう。ぜひ世界一になってほしいね。

惜しくも負けてしまったブレーダー、おつかれさま。悔しかったね。

日夜ベイブレードに打ち込むブレーダーを見守るお父さんお母さん、ご苦労様です。お休みの日に、ワールドホビーフェアというとんでもない人混みの中を一日中歩き回り、さぞくたびれたことでしょう。イライラしてしまった親御さんもいるかもしれませんが、今夜は子どもの話をゆっくり聞いてあげてください。きっと話したいことがたくさんあるはずです。

 

 

今日は子どもたちに勇気をたくさんもらったので、ぼくも自分の人生をもっともっとおもしろくしていけるように、がんばるぞ〜〜〜〜!

おやすみジャパン!

 

 

 

おわり