三日坊主の三年日記

人生を、おもしろく

拝啓 JT田中美咲選手へ

Vリーグ女子準決勝、JT vs 東レ

1戦目をフルセットで制したあなたたちJTは、このままの調子で2戦目もいくだろう、と私は思っていました。

しかし、勝負の世界は決して甘くはありませんでした。

 

田中美咲選手。

 

あなたは2戦目、どこか様子がおかしかった。

極度に緊張していたのか、プレッシャーを感じていたのか、顔は強張り、トスはぶれぶれでした。

特にミハイロヴィッチ選手に対するトスは、僕の母の寝ぐせのごとく荒れまくっていました。

 

かつて学生の頃セッターをしていた僕には、あなたの気持ちが痛いほどよくわかります。

ミハイロヴィッチ選手は、感情をよく表現する選手です。それは、もちろん喜びもですが、苛立ちやもどかしさに関しても同じ。わかりやすく空気を乱している様子がコートにいなくても伝わってきます。

僕もメンタル激弱系セッターだったので、こわいなと思う人に対するトスは、それはもうひどいものでした。ちゃんとあげなきゃ、と思うほどに手は震えて上がらなくなりました。ひどすぎてボールを投げつけられたりもしました。

 

プロとしてバレーボールをするあなたと比べるのも失礼な話ではありますが、あの試合のあなたをみているのは、本当に心が苦しかった。

思うようにトスが上がらず、冷静になろうとどんどんと自分の中に閉じこもっていき、周りの声が聞こえなくなっているように見えました。

最後にはもう、オーバーでいけるボールもアンダーであげていましたね。それほどまでに、あなたは追い込まれていたのだと思います。

 

それでも、そんなあなたを最後まで信じ、吉原監督はあなたを使い続けました。

それに対するプレッシャーもあったことでしょう。

 

チームプレーにおいて、誰かが一人になってしまうことは避けなければいけない。

それなのに、あのコートにおいて、あなたはひとりぼっちでいるかのようでした。

後ろからみんなを鼓舞するリベロ・小幡選手の声に、あなたは気づいていたでしょうか。

タイムアウトであなたを抱きしめる、控えセッター・柴田選手の思いに、あなたは気づいていたでしょうか。

 

そんな余裕もないほどに、うまくいかない状況の整理が追いつかなかったのだと思います。

 

きっと一番悔しいのは田中選手だと思います。

悔しくて悔しくて眠れない夜が続くかもしれない。

あなたのことなので、過度に自分を責め続けるかもしれない。

自分のせいで負けてしまったんだと。責任をとって、もう引退しようなどと思うのかもしれない。

 

 

正直言って、私はあなたのファンでも何でもありません。

あなたのプレーを学生時代から応援していたわけでもありません。

 

しかし、新元号なんかよりも、今はあなたのことを心配しています。

 

そしてこれだけは言いたい。

あの試合を最後に、バレーボールを諦めないでほしい。

もう一度、バレーボールを心から楽しんでほしい。

 

スタメンとして長いシーズンを通してコートに立ち続けたことは、素晴らしいことです。

3位という結果は、満足のいくものではないと思いますが、やってきたことをどうか否定しないでください。

 

またあなたが笑ってプレーする日を、一人のバレーボールファンとして、私は待ち望んでいます。

きっと立ち直って、またコートを駆け回ってくれると信じています。

 

その日まで、まずはゆっくり休んでください。

今シーズンも、おつかれさまでした。