God morgon!
いつも通りförskola(就学前学校)にStellaを送り、鶏を外に放す幸せのルーティン。
その後は地下室の大掃除へ。
地下には、食料庫、服を作る部屋、サウナ、洗濯室、物置、そして今回リノベーション中の部屋があって、キャパシティがすごい。
これでもスウェーデンの中では狭い方だとか言ってるから、僕の大学の寮の狭さを説明したらアンビリーバボーと言っていた。そんなんこちとらアンビリーバボーだわ。
ランチを食べ、Leoをオープンプリスクールに連れて行った。
オープンプリスクールとは、その名の通り、誰にでもオープンな保育園のこと。
スウェーデンでは1歳半になるとほとんどの子がförskola(就学前学校)に通うので、1歳未満の赤ちゃんがたくさんいた。
ここには常に3人の先生がいて、週3日あいている。
親子はあいている時間帯にいつでも訪れることができ、本を読んだりおもちゃやパズルで遊んだりごろごろしたり、自由に過ごせる。
また、大人がコーヒーやちょっとしたお菓子を買って飲めるスペースや、パソコンを借りられる部屋、静かに勉強ができる部屋、縫い物ができる部屋などが備わっている。
そこの先生がめちゃくちゃ優しくて、聞いてみるといろいろ丁寧に教えてくれた。
地域によって違った特色があり、Borlängeのオープンプリスクールは移民の人たちにとって重要なミーティングポイントになっているそう。
(ちなみに子供がいなくても、誰でも来ておっけー!)
世界中の国から移り住んできた人たちが、ここで同じような境遇の人と出会ったり、スウェーデン語を勉強したり、保険や仕事など様々な悩みごとを相談したりできる。
そのために、週一で移民専門のカウンセラーが来るのだとか。
先日は、アフリカから移ってきた女性が、バンクから謎のお金が毎月引き落とされていると相談にきたそう。
バンクとカードを変え、無事解決できたそうだが、まだスウェーデンの事情や言語が十分にわからない移民を狙った犯罪があることは、スウェーデンにある問題の一つだ。
ちなみにオープンプリスクールとは別に、教会も人々にとって重要な場所になっていて、スウェーデン語の勉強会や赤ちゃんに歌を歌う会などをやっているのだと、教会のウェブサイトを見せながら教えてくれた。
そのことは知ってたんだけど、教会が独自のサイトを作ってることの方がびっくりだったわ。
また、ついでに僕が子どもの遊びや公園に興味があることを話すと、それならBorlänge市役所の公園課に行って話を聞いてきなよ!と。
調べてみると、地域ごとにどのような公園を作ってどのような遊具を設置するかなど、公園課が決めて動いているらしい。
残念ながらここで行く時間はないので、他の地域で行ってみよう。
お姉さんにお礼を言って、Stellaをお迎えに。
今日は雨が降っていたので、家の中で遊んだ。
セロハンテープを見つけて顔に貼り出したStellaと、それに乗っかって鼻にテープを貼って豚になりきろうとするMilaela。
3人で豚の真似してぶひぶひ言う昼下がり、平和すぎてびっくりする。
16時頃に雨があがったので、公園へ!
つい数週間前まではこの時間帯にはもう暗かったのに、随分日がのびたなあ。
今日の公園はこんな感じ。
一番左には、肢体不自由の子が乗れるブランコが!
「障がいのある子だってブランコに乗りたいのよ、それが普通でしょ?」とMikaela。ごもっともすぎて脱帽。
Stellaはまだ日本で見る普通のブランコには乗れないので、支えがついたブランコに。
いろんな場所に連れて行ってくれたMilaelaに、感謝しかない。ビッグラブ。
帰ったら、Tobiasが夕食の準備をしてくれていた。
料理をするパパを見ながらもぐもぐするStella。
何食べてるの?と聞くと、なんと生のじゃがいもをばくばくしゃりしゃり食べていた。
みんなとの最後の夕食。こんなに楽しい時間ももうおしまいかあ。
夜、僕が友達の結婚式ムービーを作成していると、「日本では結婚は重大なことなの?」と聞かれた。
彼らは結婚はしておらず、事実婚(スウェーデンではSamboと呼ばれている)という形をとっている。
Milaelaのお兄さんのおうちにお邪魔したときも、親戚たちを僕に紹介してくれるときに、"husband"と"boyfriend"を使い分けていたので、あ、結婚してる人としてない人がいるんだな、とわかった。にもかかわらず、みんな子どもがいた。
Samboは、スウェーデンでは全く珍しい形ではない。
相続など一部異なる部分はあるのが現状問題ではあるらしいが、婚姻関係とほぼ変わらない社会保障を受けられる。
そのため、「結婚」しているかどうかというのは、さほど大きな問題ではないのだ。
そんなことよりも大事なのは、大切に思い合う人たちが人生を分かち合うことを決め、その先に「結婚」もそれ以外の選択肢もあること、いろんな形が認められる環境があることだ。
その家族にしかない形が、家族の数だけあるのだから。
一方日本では、事実婚はまだまだメジャーではないし、選択的夫婦別性も同性婚も進んでいない。
ましてや「結婚」というライフステージを踏むことが「正解」「普通」「幸せのゴール」かのように押し付ける人たちも未だに存在する。もはや恐怖。
伝統的家族観を異様に重視する人たちが日本のトップに立っているのでなかなか変わりそうにないのは非常に残念だが、変えればただただハッピーになる人が増えるだけなのに、一体全体何を守っているのだろう。
Tobiasが、「君はスウェーデンで子育てができて、しかも僕と一緒にいれるなんて、世界一幸せだね」とMilaelaに言っていたのは最高にかっこよかったけど、同時に悲しくもあった。
何が「普通」で、何が「特別」かって、社会のあり方によって本当に全然違っているんだなあと、スウェーデンにきてから痛いほど感じる。
障がいのある子だってブランコに乗りたいのよ、それが「普通」でしょ?
このMikaelaの言葉が、スウェーデンに生きる人のあり方を丸ごと物語っているような気がした。
今日本で「普通」じゃないこと、でもそれが「普通」になった方がハッピーなことって、どれくらいあるだろうか。
それらが「普通」じゃないことによって苦しんでいる人がどれほどいるだろうか。
スウェーデンだって、ここに今ある「普通」が、国ができたときから「普通」だったわけではない。
ここにいる「人」が、たしかに変えてきたのだ。抵抗して、戦って、少しずつ「普通」を作り上げてきたのだ。
「自分たちの社会は自分たちで変えられる」
そう信じる力が、この国にはある。
国が違えど、変えるべき「普通」は、僕たちだってきっと変えていける。僕らの手で。
そう信じられる人が溢れる国にしていきたいなあ。
Milaelaが唐突に焼き始めた大量のシナモンロールを食べながら、そんなことを思ったのでした。
このあたたかな家庭で過ごす最後の夜。
Stellaとのおやすみのハグも、もうおわりなんだな。
このぬくもり、忘れないぞ。
変わらないことへの憂いと、変えていくぞという決意と、甘いシナモンの香りが漂う中、ぐーすかと眠りにつきましたとさ。