三日坊主の三年日記

人生を、おもしろく

嵐はすごい、という話(違う)

このブログで何度か書いてきたが、僕はスウェーデンでもバレーボールをやっている。

こっちに来たばかりの頃に、地域のクラブチームの練習に何度か行ったが、学校が忙しくなり、週に2,3回の練習に行けなくなってしまった。
そこでそのチームを離脱し、fysikenというジムの会員が参加できるレクリエーションバレーみたいなのに、行きたい時に行くスタイルに変更した。

先日、そこで愉快なイラン人たちと出会った。
僕が日本人というだけで、Nishida!!!!と呼んでくるのはウケる(西田くんは日本代表のスーパーかっこいい選手)が、おもしろい人たちだったのですぐに打ち解けた。

なんとなんと彼ら、東京オリンピックを観に来るらしい。つい最近イランの男子バレーチームは五輪出場を決めたばかりで、僕もイランはとても好きなチームなのでまじで嬉しい。彼らと日本で会えるのが楽しみで仕方ない。


そんな彼らに、「僕らのチームの練習に来ないか?」と誘われたので、ふらっと行ってみたときのことを書こうと思う。


そのチームも、最初に離脱したチームのようにリーグ戦で勝つために練習を頑張っているチームだった。

練習の合間に筋トレがあり、これまたきつくて僕はだいぶへばっていたのだが、チームの雰囲気はわいわい明るく、むしろ笑いで腹筋がしんどかった。
前のチームはみんなスウェーデン語でしゃべっていたのでさっぱりだったが、メンバーに移民が多いからなのかみんな英語でしゃべっていたので、会話が理解できてとても楽しかった。


余談なのだが、僕がバレーをしてきた中で常識だったことが、スウェーデンでは通用しないことが多い。

例えば、ボールは蹴らないとか、プレー間に相手コートにボールを返す時はネットの下から転がすとか、対人は全力でやる、とか。

特に僕は中学時代だいぶスパルタだったので、口うるさく言われてきたマナー的なことが目に付きやすいのかもしれないが、文化が違えば振る舞いも当然違うよなあと改めて思った。逆に自分が違うなとみんなに思われていることはなんなのか知りたい。


また日本の部活はすごく基礎に忠実で、特に強豪高は徹底的に基礎練をするので、パスのレベルが非常に高い。春高とかをみてるとまじでそれを感じる。誰でもセッターできちゃうやん、みたいな。

しかしスウェーデンではパスがあまり重視されていないように思う。攻撃は最大の防御みたいな感じ。身体がでかいからパスが多少悪くてもなんとかなるってのはあるけど、まずそこからちゃんとしようぜと思ってしまう。笑



話が逸れたぜ。


そんな中最後の試合形式の途中、一人のメンバーが、突然あからさまに機嫌が悪くなった。
セッターのトスが少し乱れたら打たないで適当に返してアウトにしたり、文句を言ったりしていた。

当然チームの雰囲気も悪くなり、ぐだぐだとしてきたところで、少し早めに練習を終えてコーチがミーティングを始めて喝を入れていた。

コーチが話し終わったあと、その怒っていたメンバーが発言した。

彼が気に食わなかったのは、公式戦もすぐそこだというのに、コーチがメンバーのポジションを変え、普段リベロの人がセッターをしていたところだったと。結構いつもよくわからないことをするのだと。

当然普段セッターをやっていないとトスはぶれるしコンビは合わないし、位置取りもよくわかっていないし、コミュニケーションも上手く取れていなかった。
ゲーム形式なのにこんなことをしていたら、いちいちいろんなことを言わなくちゃいけなくて、そんなの時間の無駄じゃないか、と彼は怒っていたのだ。
ミーティングが終わったあとも、コーチと二人で話していた。


僕は初めての参加だったので、チーム内の問題や事情はよく知らなかったし、彼が怒っていたときは試合から外れてコートの外から見ていただけだったのでどうにもできなかった。

怒っていた彼が練習後に、「今日はすまなかった。少し感情的になってしまったよ。でも納得できないことはちゃんと伝えるべきだから。」と話してくれた。

その直後にはもうコーチと楽しそうに談笑していた。
隣で練習している女子バレーチームのあの子のお尻が最高なんだだの、あの子とこの前のパーティーでキスをしただの、あの子と四六時中連絡とってんだぜだのとしゃべっていて、もう清々しくて笑ってしまった。



たしかに練習中に機嫌を損ねてプレーを疎かにするのはよくはなかったと思う。チームスポーツにおいて、特にバレーボールは誰かがコミュニケーションを諦めると、ガタガタになってしまう。その方がむしろ時間の無駄だったかもしれない。

けれど、自分がなぜ憤りを感じて怒っていたのかをチームメイトに伝えたり、ここはおかしいと思う、こうしてほしい、といったことを率直にコーチに伝えたり、なぜそうするのかを聞いたりする姿勢は、とっっっっってもよいなあと思った次第であった。

メンバーだってコーチだって、試合に勝ちたい、そのために強くなりたいっていう思いや目指すゴールは一緒なんだから、意見が食い違ったり疑問を話し合ったりすることは、我慢すべきことではなくて、そこに向かうために必要なことなのだ。

解決でき得るストレスを誰かが抱えたままのチームは、強くはならない。


別にそれぞれが違う目的を持ってばらばらにやるなら話は違うけど、人と人が同じものを追いかけて何かを一緒にやっていくって、きっとそういうことなんだ。


僕も人とぶつかることは苦手だし、衝突はできるだけ避けたいと思うタイプで、きっと日本人ってそういう人が多いんじゃないかな。

相手を思いやったり、自分が我慢したりすることで争いが起きないなら、そっちをとるというか。波風立たないほうが平和に見えるから。

 

だけど、思ったことを率直に伝えることと、人間同士の関係はそれとは別の話だぜ、という彼のスタンスというか、バランスの取り方はとても参考になるなと思ったので、ここに記しておいた。

 

ぶつかることが正義なのではなくて、相手はなぜそうしたのか、何を考えているのかを汲み取り合う姿勢が大事なんだよなあ。それがあって初めて、お互いが納得のいく着地点を見つけられるというか。

嵐の活動休止の記者会見は、そんな5人の関係性がばちばちに伝わってきたので、いや嵐すきだわ、ってなったんだと思う。嵐はすごい。

 



何はともあれやっぱりバレーボールというものは楽しくて、新たな人間関係が広がるというのはおもしろいことなのであった。


このタイミングでイランの友達が増えたことも、めちゃくちゃ嬉しい。

世界は揺れていても、僕らの繋がりはたしかにここにあるんだ。

これについてはまた別で書こうかな。



年賀状を書いているのだけど、いつ送れるかわからない。届くのに2週間はかかるので2月になってしまいそうだが、今年もお茶目すぎてごめんねって感じでやっていこうと思う。

それでは。
へいど〜〜〜