三日坊主の三年日記

人生を、おもしろく

告白されました、春。

突然だが、先日バイト先の年上のお姉さんに告白された。

ずばり結論から言うと、お断りした。直球で告白されたのは高校生ぶり?くらいだったが、その人のそぶりがあまりにもわかりやすかったので、心構えはできていた。ではなぜ告白されてふったにも関わらず、ブログをつらつらとこしらえているのか。それは、この出来事がさらっとやりすごせるほど単純なものではなかったから。ぼくの中に巻き起こった感情や気づきを整理するためにも、ぼくは記すのだ。

 

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ぼくは会社を辞めてから、大学院に入学するまでの4ヶ月間、地元でアルバイトをすることを決めた。その目的は、①お金を稼ぐこと ②子どもに関わる仕事を通して何かしらの学びを得ること だったので、働く場所にこだわってふたつの職場を選んだ。その結果、最後の出勤の日に判明したのだが、本来常勤でしか雇っていないところをアルバイトとして特例で雇っていただいた。喜ばしい限りでござんす。そのおかげで、ぼくはさまざまな気づきを得ることができた。しかしそれは働きながら仕事内容やお客さんや子どもや社員さんと接することで得たものだった。初めから、短期間というのもあってほかのアルバイトと仲良くする気はなかった。中途半端に仲良くなって、浅い飲み会にいってお金と時間を浪費せずに、まっすぐ帰って自分の時間を大事にしたいと思い、実際そうしてきた。だから、業務時間外でほかのアルバイトと関わることはほぼなかった。それでいいと思っていた。

 

大学時代のぼくは、目の前の楽しさにばかり捉われ、人と深く関わることを避けていた。というより、深く考えていなかったため、人とまじめに語り合うことや意見をぶつけることができなかった。自分の浅はかさをコンプレックスに感じつつも、日々に流されて過ごしていた。そして就職し、すぐに退職してからは少しずつ自分の頭で考えるようになった。ひとりの時間が増えたこと、書き残すようになったこと、本を読むようになったこと、考えたことを人に話すようになったこと、たくさんの変化があった。そしてぼくはいつしか、ただしょうもないことを話して笑って過ごすのも楽しかったけれど、深く真剣に語り合うことって何倍も楽しいんだなと思うようになった。大人になるってそういうことなのかもしれないが。大学を出て就職するという、いわゆる黄金ルートを外れてから、自分が本当に大切にしたいと思える人たちをとことん大切にしていこう、そんな関係を少しずつ築いていこうと思うようになったのだ。

 

そんな矢先のことだった。その先輩と仲良くなったのは。先輩は教育係だったため、ぺーぺーのぼくに仕事を教えてくれた最初の人だった。店が暇なときに話しかけられ、だんだん打ち解けていった。一度ふたりで飲みにもいった。なぜなら、彼女のことをおもしろい人だなと思ったから。保育士を数年してから退職し、遠い地からひとりで引っ越してここにやってきたと聞いてから、なんとなく親近感を覚えていた。この人となら、共感し合えることも多いんじゃないかな、と思ったのだろう。お酒を飲みながら、いつのまにかぼくが煮詰めていた考えを弾丸でしゃべってしまった。それでも、先輩は聞いてくれた。先輩の考えも話してくれた。仕事として子どもに携わっていきたいぼくとしては、元保育士の視点は非常におもしろく、先輩自身もリーダーシップがあり、視野が広くいろんなことに気づきそっと手を差し伸べるような人だったので、尊敬するようになるのは自然な流れだった。ぼくは、自分にないものを持っている人に対して憧れを抱きやすいのだ。

 

そうしてその先輩も、ぼくにとってこれからも大切にしていきたい人のひとりになった。これから先もまたどこかで会って話して、刺激し合っていきたいなと。と同時に、この人はぼくを恋愛対象として見ているのではないかと思うようにもなった。バイト先にわざわざ自転車を置いて歩いて駅まで送ってくれたり、ラインの文面がすごくキラキラしていたり、知り合いにチケットをもらったからとアートアクアリウムに誘ってくれたり、ぼくのおすすめした本を3回読んで読書感想文を書いてきてくれたり(もちろん嬉しかった)、それはもうわかりやすかったんだなあ。

 

そして4ヶ月の勤務を終え、最後の出勤日。別れを告げたあとに先輩から電話がかかってきて、想いを告げられた。ぼくは単純に、すごく嬉しかった。日々を頑張れる糧になってたよと言われて、嬉しくないはずがない。でもぼくは、その先輩に恋愛感情は抱いていない。ただ、ひとりの尊敬する人間としてこれからもいい関係でいたいと願っていた。だから、その通りにお伝えした。すると、「好きな人に、大切な人の中のひとりだからこれからも大切にしていきたいって言われても、こっちはそれを超えてしまっているんだから、そんな言葉つらいだけだよ」と言われてしまった。ぼくはこの人を、傷つけたくなかった。傷つけるつもりではなかった。だから、本心を素直に話したつもりだった。でもそれは、先輩にとってつらい言葉だった。それが、ぼくにはとても悲しかった。

 

失恋をするということは、必然的に傷つくものなのかもしれない。そう考えると、ぼくはひどいふり方をしたわけではない(と思う)ので、もしかしたらその傷は深すぎることはないのかもしれない(わからないけど)。でも、ぼくはぼくの言葉で彼女を傷つけてしまった事実、彼女とぼくはもう(おそらくしばらくは)”普通の”いい関係ではいられないという事実ははっきりと残ってしまった。

 

 

この先も関わりたいと思える素敵な出会いがあったこと。人に好きになってもらえたこと。

人を傷つけてしまったこと。続けていきたいと思える関係も、恋愛感情によってなくなってしまうこともあるということ。

4年ぶりに戻ってきた故郷で過ごした数ヶ月。ぼくの中に芽生えた嬉しさと悲しさは、とても新鮮なものだった。こうやってひとつひとつの感情と向き合って噛み締めて、ぼくの輪郭は少しずつはっきりしていくのかな。また新しい春がくる。次はどんな出会いがぼくを形作っていくのだろう。いつのまにか故郷の桜は満開で、ゆっくりと思いを馳せる暇もなく旅立ちの日がきてしまったけれど、新天地の桜を眺められるわくわくを胸にぼくは今日、旅立つ。