三日坊主の三年日記

人生を、おもしろく

スウェーデン第一次散髪戦争

髪が伸びてきてぼーぼーになり始めたので、スウェーデンにきて初めて床屋さんに行った。

日本人がやっている美容室に行くという選択肢もあったのだか、せっかく留学に来ているのだから現地の人に切ってもらいたいなという冒険心もあり、ショッピングモールの中にある外から丸見えの床屋さんに行ってきた。

ここがのちに公開処刑場となることも知らずに。。

 

 


カタログを見て、いい感じのやつを見つけて「これでお願いします」と言った。

 


受付のお姉さん曰く、「彼は凄腕なのよ」ということなので、全幅の信頼を置いて、スウェーデン散髪戦争がスタートした。

 


序盤、彼はバリカンを取り出し、縦横無尽に僕の頭を刈り始めた。

 


"I think you need a machine."

"It's okay."

 


この会話が、悲劇の始まりだったのだ。

マシンて。


一通りサイドと襟足を刈り上げられたところで、次に彼はもみあげを剃り始めた。

僕は慌てて、全部剃らないでくれと懇願した。

その結果、こうなった。

 

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なんとも不自然な三角形。。細すぎるわ。。

ナチュラルにお願いと言ったのに。。。

 


その後彼はハサミを取り出し、高速で髪を捌き始めた。こんなにも至近距離でジョキジョキと音を立てながらハサミを振り回されたのは人生初だ。

いつ僕の頭にハサミが突き刺さり、耳がちょん切れ、床が血まみれになるだろうかと心臓が飛び出そうで仕方なかった。

 


ある程度髪が減ってきたところで、僕は違和感に気づいた。

 


(これ、カタログでお願いしたのと全然違くないか。。。???????)

 

 

 

このままではまずい。

ここまで明るい未来が見えなさすぎる展開もなかなかない。

ここで軌道修正を試みなければ、行き着く先は地獄しかない。

 


そう確信した僕は、「ここをもう少し短くしてほしい」と頼んだ。

 


すると彼はまたしても"machine"を取り出し、さらなる荒野へと駆け始めた。

ここまでくるともう僕は自暴自棄になり、どうにでもなれ状態。

 

分かれ道の先はどちらもただの地獄だった。


しっかりと角刈りが出来上がり、「もうこれでいいです」の一言でスウェーデン散髪戦争は終結した。

惨敗である。

 


敗因は間違い無く、コミュケーションミス。もう最後は彼も困っていて、これで勘弁してくれと言わんばかりの顔だった。

 

 

 

スウェーデンの友人は「そんなに悪くないよ」「サッカー選手みたいでナイスだよ」と優しく言ってくれるが、日本人の友人に「まじウケるwww」と笑われたほうが救われた気がするのは、僕の心が荒んでいるからだろうか。

 

 

 

 


ワックスをつけて帽子をかぶればなんとかなると思ってまだ耐えていたが、なんとロンドン一人旅の途中で、留学に来て速攻で買ったキャップをどこかに置き忘れ、空港でワックスを没収され、屍と化した。

髪を失い、神に見捨てられ、頭も隠せず尻はでかい人間がここに存在している。生き地獄とはこのことである。

 


空港のベンチで横たわり死んでいたところ、クロアチアへ向かう日本人の友人たちに奇跡的に遭遇し、笑われて少し元気になったものの、ダメージがでかすぎて修復不可能。

 

 

 

 


散髪というのは、なんとも博打的なものである。

一度切ってしまうと元どおりにはならない。

また生えてくるとわかっていても、自分の期待と仕上がりに少しでも差異が生じてしまうと、気分は著しく落ち込んでしまう。髪型というのは、人の感情をここまで大きく左右するものなのか。

 


嗚呼、人生は残酷だ。

留学における失敗談はネタとなり、引き出しとなり、いつか人生を豊かにしてくれる肥やしとなると信じて生きるしか、今はなす術がない。

 

 

 

この髪型とともに、寒くて暗い北欧の冬を越せるのか、今のところ不安しかない。けれども、意地でも生きていくしかない。

誰か、髪が速攻で伸びる方法を知っていたら、僕までご一報ください。

何卒宜しくお願いいたします。